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2015/11/07

Wonder Wonder

先月の話だが、記録として残しておきたい。
生ける伝説を見る機会はトロントにいると何度か訪れる。日本よりそれは多いように僕は感じている。僕の勝手な分析では、ロックの殿堂として歴史を切り拓いてきたアーティストたちは、アメリカかイギリスのミュージシャンが多く。ツアーでアメリカを回るときに、ニューヨークやシカゴを経由して、北米の一箇所としてトロントにも回ってくる。寄りやすいんじゃないかと思う。

そんなわけで、先月Stevie Wonderを見てきた。
8時からのライブは20分ほど押してスタート。僕も会場に遅れて行ったけど、むしろちょうど開始といったタイミングだった。
美しい女性に腕を掴まれて、(目が見えないからね)案内しながらステージ中央にあるピアノに向かってスティービー登場。
僕が高校来聞いてきた、あの音楽。あの声。あの男だった。
髪型こそ、少し弁髪みたいにドレッドをまとめたあの髪型が後ろに寄っているものの、まぎれもなくあれはスティービー・ワンダー。
ピアノに座る前におしゃべりを少し。トロントでライブでやるのは最後になるかもって言っていたような気もする。
それにしても、ビリー・ジョエルやエルトン・ジョンの時にも思ったが、彼らがステージ上に現れたときに、伝説の男の素顔というか、実際のステージがどんなものなのかによって、僕の予想というか、思惑は大きく外れる。スティービーも想像以上に気さくだ。実際の演奏前にまずはご挨拶で軽く観客を笑わせる。そこから演奏に入る。
その後、間の休憩を挟んで、ヒットソングをやったり、即興を織り交ぜて他のバンドメンバーとのソロを回してみたり。スティービーはステージ上に、20人前後(いや、もっといたかな?)のスタッフを連れ込んでいてその光景は壮観だった。管楽器、弦楽器、コーラス、バックバンド、その他ゲストボーカルなど代わりばんこに綺麗な女性シンガー(しかもみんな、ブラック系の女性)を連れてきて、時にフィーチャリングしてみたり、コーラスを取らせてみたり、まるでハーレム?である。たまに「あの女性はなんでステージまできたんだっけ?」みたいな人までいた。
観客を飽きさせない演出か、ボーカルがたくさんゲストできたり、楽器で回してみたり、スティービー自身も楽器を移動してみたり(距離感をつかんでいるようでもあり、たまに自分で楽器間を移動していた)、とても楽しかった。
ちょうどライブのタイミングにジョン・レノンとスティービーの兄弟の誕生日が近かったなどという理由で、ジョン・レノンの「Imagine」をカバーしていて意外だった。会場中で大合唱した後に、スティービーは古い友達を思い、涙を流して「盲目の目」から流れる涙を拭っていたのは印象的だった。
ちょうどアメリカでは銃規制についての議論が飛び交っていたタイミングだ。(ジョンはいわずもがな、猟奇的なファンに打たれて亡くなっている)

アンコールはたっぷりやってくれたが、「会場をおさえている時間が決まっているんだ。君たちがこれ以上アンコールしたら、何千ドルって払わなくちゃいけないんだぜ」みたいなこと言って沸かしながら、数あるヒット曲をメドレー式に?次々と途中まで!歌い、そしてまた曲を変え「もっとみんなシリアスになってくれないと。最後までやれないよ!」と言っては、曲を変え、次々とヒットソングをやっていた。

そして、最後の最後に「Superstition」のイントロをスティービーが弾き始め、会場は大興奮。みんなで大合唱しながら、最高のエンディングを迎えて終了。

舞台効果などではなく、演奏でファンを魅了するという側面で、さすがのスティービー。数々の名曲を本当に彼が演奏しているということが夢のようでもあった。長年のキャリアにもかかわらず、衰えていない歌唱力にも関心ひとしきり。とにかく素晴らしい夜だった。



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