僕はこれまで全く知らなかったのだが、トロントの友人に教えてもらって知った。なんだかトロント…というかカナダには、脈々と受け継がれている「芸達者なアコギ弾きに対する需要」がなんとなーくある気がしている。それはもう、ドン・ロスしかり、エリック・モングレンしかり、ブルースコバーンとかそういうのもそうかもだし、きっともっと昔からなんだろうけも。ラグタイムやジャズとか、そういう流れを引いているようなところからずっとその類の音楽好きな人が確かにいて、それは心なしか日本よりもウケている気がしている。
確かな立ち位置があるというか…。
日本だと僕の大好きな中川イサト、押尾コータロー、岡崎倫典、南澤大介とか?僕もその辺は聴いたりしていた。
そんな話でこっちの友達と盛り上がったことがあったので、彼はTommyの来加コンサートに僕も一緒に行こうと誘ってくれたのだ。
トミーはサムピックを駆使するギタリストで、あまりライトハンドでのタッピングや変則チューニングを多用するわけではないようなのだが、とにかく右腕がよく動く人だった(ちなみにオープンG6が彼のレギュラーチューニングっぽかった)。ピッキングがとにかく早い(ハンマリングやプリングも多用しているだろうけど)上に、左手が表現豊かなボイシングのコード使いで、見事にメロディと伴奏とベースの3つの要素を弾き倒していた。
他のギタリストと違って彼には秀でたパフォーマンス力もあった。演奏の要所で見せるちょっとした細かい動きが(立ちながら弾くし)、さながらロックバンドのギタリストかのようにダイナミックに動いたり、ちょっとおどけた動きをして会場を笑わせてみたり、エンターテイナーとしても優れていた。
音楽的にとても実験的で新しいというわけではなかったが、とにかく弾きまくるし、歌うし、叩くし、さらに冗談も入れてくるし、それらを目まぐるしいスピードでやるので、ギター一本でも観客を飽きさせない圧巻のパフォーマンスだった。
パフォーマンスの途中で彼が「会場にいるギタリストに向けて…」と言って、プチワークショップとして直前に演奏した曲についてどうやって弾いていたのか解説してくれるコーナーがあった。
その時彼が言っていたのは、「…とまぁ、こういうフレーズを繰り返し、ゆっくりのBpmからスタートして、メトロノームと一緒に何回も弾くんだ」と言っていた。
彼が練習無しではうまくなれない、というのはとんでもない説得力だったと同時に、なんだか救われたような気持ちに少しなった。
練習あるのみ!
写真は禁止されていて撮れなかったので代わりに会場に行く途中の地下鉄の座席に置いてあった怪しい注射器の写真を…
0 件のコメント:
コメントを投稿