先月の話だが、記録として残しておきたい。
生ける伝説を見る機会はトロントにいると何度か訪れる。日本よりそれは多いように僕は感じている。僕の勝手な分析では、ロックの殿堂として歴史を切り拓いてきたアーティストたちは、アメリカかイギリスのミュージシャンが多く。ツアーでアメリカを回るときに、ニューヨークやシカゴを経由して、北米の一箇所としてトロントにも回ってくる。寄りやすいんじゃないかと思う。
そんなわけで、先月Stevie Wonderを見てきた。
8時からのライブは20分ほど押してスタート。僕も会場に遅れて行ったけど、むしろちょうど開始といったタイミングだった。
美しい女性に腕を掴まれて、(目が見えないからね)案内しながらステージ中央にあるピアノに向かってスティービー登場。
僕が高校来聞いてきた、あの音楽。あの声。あの男だった。
髪型こそ、少し弁髪みたいにドレッドをまとめたあの髪型が後ろに寄っているものの、まぎれもなくあれはスティービー・ワンダー。
ピアノに座る前におしゃべりを少し。トロントでライブでやるのは最後になるかもって言っていたような気もする。
それにしても、ビリー・ジョエルやエルトン・ジョンの時にも思ったが、彼らがステージ上に現れたときに、伝説の男の素顔というか、実際のステージがどんなものなのかによって、僕の予想というか、思惑は大きく外れる。スティービーも想像以上に気さくだ。実際の演奏前にまずはご挨拶で軽く観客を笑わせる。そこから演奏に入る。
その後、間の休憩を挟んで、ヒットソングをやったり、即興を織り交ぜて他のバンドメンバーとのソロを回してみたり。スティービーはステージ上に、20人前後(いや、もっといたかな?)のスタッフを連れ込んでいてその光景は壮観だった。管楽器、弦楽器、コーラス、バックバンド、その他ゲストボーカルなど代わりばんこに綺麗な女性シンガー(しかもみんな、ブラック系の女性)を連れてきて、時にフィーチャリングしてみたり、コーラスを取らせてみたり、まるでハーレム?である。たまに「あの女性はなんでステージまできたんだっけ?」みたいな人までいた。
観客を飽きさせない演出か、ボーカルがたくさんゲストできたり、楽器で回してみたり、スティービー自身も楽器を移動してみたり(距離感をつかんでいるようでもあり、たまに自分で楽器間を移動していた)、とても楽しかった。
ちょうどライブのタイミングにジョン・レノンとスティービーの兄弟の誕生日が近かったなどという理由で、ジョン・レノンの「Imagine」をカバーしていて意外だった。会場中で大合唱した後に、スティービーは古い友達を思い、涙を流して「盲目の目」から流れる涙を拭っていたのは印象的だった。
ちょうどアメリカでは銃規制についての議論が飛び交っていたタイミングだ。(ジョンはいわずもがな、猟奇的なファンに打たれて亡くなっている)
アンコールはたっぷりやってくれたが、「会場をおさえている時間が決まっているんだ。君たちがこれ以上アンコールしたら、何千ドルって払わなくちゃいけないんだぜ」みたいなこと言って沸かしながら、数あるヒット曲をメドレー式に?次々と途中まで!歌い、そしてまた曲を変え「もっとみんなシリアスになってくれないと。最後までやれないよ!」と言っては、曲を変え、次々とヒットソングをやっていた。
そして、最後の最後に「Superstition」のイントロをスティービーが弾き始め、会場は大興奮。みんなで大合唱しながら、最高のエンディングを迎えて終了。
舞台効果などではなく、演奏でファンを魅了するという側面で、さすがのスティービー。数々の名曲を本当に彼が演奏しているということが夢のようでもあった。長年のキャリアにもかかわらず、衰えていない歌唱力にも関心ひとしきり。とにかく素晴らしい夜だった。
2015/11/07
2015/10/11
SiBという男
10月に入って10日くらい経っているんだけど、
9月のことを忘れないように書いておこうと思う。
9月の初めに僕は日本人ミュージシャンを見送った。SiBというピアノ弾きのシンガーソングライター。ニューオリンズのテイストが好きなそういうピアノプレイが得意で、牧歌的な歌を歌ったり、抽象的でかつ繊細な水彩画のようなインストゥルメンタルの曲も弾けるミュージシャン。彼は日本で会ったことはないんだけど、東京の似たようなエリアでお互いにやっていた。
僕らは偶然、それぞれが別々のつながりでとあるバーに演奏しに行った時に出会った。
僕以外の日本人ミュージシャンと出会えたこと、彼の見据えているもの、ミュージシャンとしてのスキル、色んなものが僕と似たようなものを持っている気がして、なんだか嬉しいような、少し気恥ずかしいような気持ちになった。
また彼がとてもいいヤツなんだ。優しくて、穏やかで、アツくて。
彼とは頻繁に会うわけではなかったけど、ミュージシャン友達のなかでは比較的多く会っていたかもしれない。
僕自身も頑張ろうという気持ちと、彼のことを応援したいような気持ちとが入り混じって、なんか面白い話があれば彼にも繋げようなんて思ったりして。
彼が繋げてくれた出会いもあった。僕は僕なりに、SiBはしぶなりに自分で繋げていったミュージシャンのコミュニティなどをお互い少し紹介したりなんかして、いい感じに切磋琢磨できたように思う。
彼みたいな日本人ミュージシャンに、僕はトロントで会ったことがない。
彼との別れが近づいた8月の終わりから9月の頭にかけて、僕たちはホームレコーディングを一緒に挑戦してみたり、一緒に食事しながらのんびり話をしたり、最後に僕が会った日は出国直前の日程でスタジオレコーディングで一緒だった。
そのレコーディング、友人Xavierのホームレコーディングセッションも彼が僕に繋げてくれた縁の一つだ。
僕はいつか日本に帰った時に、僕の大好きな東京の音楽仲間を彼に紹介したいな、などと思っている。
彼はこれから日本を経て、また違う国へ行くのだと思う。きっとこれから先に行く場所でも彼の性格なら、素敵な人たちに囲まれて過ごしていくんだろうな。
彼のこれからの音楽キャリアが充実したものになりますように。
そして僕もまた彼の鍵盤を、自分の作品にもいつか足して欲しいと考えている。
9月のことを忘れないように書いておこうと思う。
9月の初めに僕は日本人ミュージシャンを見送った。SiBというピアノ弾きのシンガーソングライター。ニューオリンズのテイストが好きなそういうピアノプレイが得意で、牧歌的な歌を歌ったり、抽象的でかつ繊細な水彩画のようなインストゥルメンタルの曲も弾けるミュージシャン。彼は日本で会ったことはないんだけど、東京の似たようなエリアでお互いにやっていた。
僕らは偶然、それぞれが別々のつながりでとあるバーに演奏しに行った時に出会った。
僕以外の日本人ミュージシャンと出会えたこと、彼の見据えているもの、ミュージシャンとしてのスキル、色んなものが僕と似たようなものを持っている気がして、なんだか嬉しいような、少し気恥ずかしいような気持ちになった。
また彼がとてもいいヤツなんだ。優しくて、穏やかで、アツくて。
彼とは頻繁に会うわけではなかったけど、ミュージシャン友達のなかでは比較的多く会っていたかもしれない。
僕自身も頑張ろうという気持ちと、彼のことを応援したいような気持ちとが入り混じって、なんか面白い話があれば彼にも繋げようなんて思ったりして。
彼が繋げてくれた出会いもあった。僕は僕なりに、SiBはしぶなりに自分で繋げていったミュージシャンのコミュニティなどをお互い少し紹介したりなんかして、いい感じに切磋琢磨できたように思う。
彼みたいな日本人ミュージシャンに、僕はトロントで会ったことがない。
彼との別れが近づいた8月の終わりから9月の頭にかけて、僕たちはホームレコーディングを一緒に挑戦してみたり、一緒に食事しながらのんびり話をしたり、最後に僕が会った日は出国直前の日程でスタジオレコーディングで一緒だった。
そのレコーディング、友人Xavierのホームレコーディングセッションも彼が僕に繋げてくれた縁の一つだ。
僕はいつか日本に帰った時に、僕の大好きな東京の音楽仲間を彼に紹介したいな、などと思っている。
彼はこれから日本を経て、また違う国へ行くのだと思う。きっとこれから先に行く場所でも彼の性格なら、素敵な人たちに囲まれて過ごしていくんだろうな。
彼のこれからの音楽キャリアが充実したものになりますように。
そして僕もまた彼の鍵盤を、自分の作品にもいつか足して欲しいと考えている。
2015/09/18
日本からの手紙
しばらくが経った。
時は流れながら、自分の動きに関わらず、それ以外のことが常に起こる。新しく、自分の目にそれは新鮮に映る。
先月のことになるが東京にいる友達から届いた。
中身は一枚のCD「simple scene」Keiichi Uchidaによる初ソロ作品である。
彼は東京にいながら切磋琢磨した音楽仲間の一人。僕の好きなバンド「Blind Archer」のフロントマンでもあり、ソングライターでもある。
僕は彼の歌う歌声やメロディやハーモニーのセンスなどを昔から好きで、ずっと曲の良さを活かしたアコースティックのアプローチを試すべきだと何年も前から言っていた。当時のバンド「Blind Archer」は彼らの良さでもある轟音へ持っていく見事なダイナミクスが魅力だったが、それとは違う別のアプローチを聞いてみたかったのだ。
そんな彼のソロ作品がついに出来上がり、そしてそれが東京から遠くカナダはトロントまで届いた。届いた封筒の中には特に手紙などの文章は添えられておらず、CDが1枚。それで十分だった。彼の作品の中にメッセージが詰まっているような気がした。
一曲目から今までの彼のバンド作品とは全然違うサウンドアプローチで、しかし馴染みのある音の、声の、メロディの粒。僕が当時からずっと聞きたかった部分がその中には詰まっていたような気持ちだった。
力が抜けていて、それが彼の良さを引き出しているようなそんなサウンド。
鍵盤やベースの音も彼の持つ優しい歌声と綺麗に流れるメロディをしっかりサポートするように作られていて心地よかった。
音に詰まった手紙で彼から受け取ったメッセージもいつか、カナダからしっかりと届けられる手紙に込めることができる日がくるのかな。
時は流れながら、自分の動きに関わらず、それ以外のことが常に起こる。新しく、自分の目にそれは新鮮に映る。
先月のことになるが東京にいる友達から届いた。
中身は一枚のCD「simple scene」Keiichi Uchidaによる初ソロ作品である。
彼は東京にいながら切磋琢磨した音楽仲間の一人。僕の好きなバンド「Blind Archer」のフロントマンでもあり、ソングライターでもある。
僕は彼の歌う歌声やメロディやハーモニーのセンスなどを昔から好きで、ずっと曲の良さを活かしたアコースティックのアプローチを試すべきだと何年も前から言っていた。当時のバンド「Blind Archer」は彼らの良さでもある轟音へ持っていく見事なダイナミクスが魅力だったが、それとは違う別のアプローチを聞いてみたかったのだ。
そんな彼のソロ作品がついに出来上がり、そしてそれが東京から遠くカナダはトロントまで届いた。届いた封筒の中には特に手紙などの文章は添えられておらず、CDが1枚。それで十分だった。彼の作品の中にメッセージが詰まっているような気がした。
一曲目から今までの彼のバンド作品とは全然違うサウンドアプローチで、しかし馴染みのある音の、声の、メロディの粒。僕が当時からずっと聞きたかった部分がその中には詰まっていたような気持ちだった。
力が抜けていて、それが彼の良さを引き出しているようなそんなサウンド。
鍵盤やベースの音も彼の持つ優しい歌声と綺麗に流れるメロディをしっかりサポートするように作られていて心地よかった。
音に詰まった手紙で彼から受け取ったメッセージもいつか、カナダからしっかりと届けられる手紙に込めることができる日がくるのかな。
登録:
投稿 (Atom)



